【マンション「引き渡し前の転売禁止」へ】 ― 業界団体が方針を公表。市場はどう変わる?個人売却の誤解も解説 ―|渋谷の仲介+α(プラスアルファ)|ロケット不動産株式会社
【マンション「引き渡し前の転売禁止」へ】 ― 業界団体が方針を公表。市場はどう変わる?個人売却の誤解も解説 ―
こんにちは。
ロケット不動産株式会社 代表の渋谷です。
11月18日、不動産協会(加盟約160社/三井不動産・三菱地所など)が
「マンションの引き渡し前の転売(契約転売)を禁止する方針」
をまとめたことが報じられました。
価格高騰の背景にある“投機的な短期転売”を抑制し、
実需(居住目的)を守るための動きです。
まさにマンション市場が大きく転換点を迎えているといえます。
■ 1. 「引き渡し前の転売禁止」方針の内容
今回まとめられたのは、
「購入契約時に、引き渡し前の転売は違反である」
と明確に説明するルールを各社が導入できるようにするというもの。
強制ではありませんが、主要デベロッパーには通知済み。
業界として “転売抑制”の姿勢が明確になった という点が重要です。

■ 2. なぜ今「転売禁止」なのか?
背景には大きく3つの問題があります。
① 新築マンション価格の高騰
契約転売が市場を押し上げるケースもあり、一般消費者の負担が拡大。
② 投機的な短期転売の増加
竣工前に利益を得る“フリップ”が広がり、実需層が買いにくい状況に。
③ 市場の健全性を守るため
透明性向上と公正な価格形成が目的。
■ 3. 今後の実務への影響
今回の方針は“自主ルール”ですが、
大手デベロッパーを中心に導入が進むと見られます。
想定される変化
-
契約書に「転売禁止」条項が入る
-
申込時の本人確認・資金確認がより厳格に
-
引き渡し前の名義変更は事実上不可に
-
転売目的の購入は審査落ちの可能性が高まる
マンション取引は今後、より透明で厳格になっていきます。
■ 4. 実需(居住目的)の方にはメリットも
今回の方針は、
「本当に住みたい人が買える環境を整える」 という意味でプラスです。
短期転売による買い占めが減り、
価格の安定化や購入競争の緩和も期待できます。
■ 5. 投資目的・短期売却を考える方へ
“契約転売”は今後ますます難しくなります。
投資としてマンションを扱う場合は、
-
完成後の通常売却
-
長期保有・賃貸運用
など、戦略の見直しが必要です。
■ 6. 追記:個人の短期売却は宅建業になるの?
実は「よくある誤解」です
今回のニュースと合わせて多い質問がこちら。
「短期間で不動産を売ると宅建業者扱いになるの?」
たとえばこんなケースがあります。
-
6か月前に中古マンションを購入
-
3か月前に相続で土地建物を取得
-
丁度重なり、どちらも売却したい
-
同僚に「それ宅建業じゃない?」と言われて不安…
実際、こういう相談はとても多いです。
ですが―― 結論から言うと心配不要です。
【結論】通常の個人の売却は宅建業には当たりません
宅建業に該当するのは、
「社会通念上、商売として反復継続して不動産を売買している状態」
のときだけ。
つまり、個人の方が
-
転勤
-
引っ越し
-
相続
-
資金需要
-
住まなくなった事情
などで売却するのは まったく問題ありません。
国土交通省が示す判断基準(5つ)
以下の5つを総合的に見て判断します。
| 判断基準 | 事業性が高まる | 事業性が低くなる |
|---|---|---|
| ① 取引の相手 | 不特定多数 | 親族・限定的 |
| ② 目的 | 利益目的 | 資金需要・生活事情 |
| ③ 取得経緯 | 転売目的 | 相続・自宅用 |
| ④ 売却方法 | 自分で買主募集 | 宅建業者へ依頼 |
| ⑤ 反復継続性 | 続けて売る | 事情による単発売却 |
相談例の場合、
ほぼすべて“事業性が低い”側に分類されます。
結論:宅建業扱いになる可能性は極めて低い
今回のような状況では、
宅建業に該当することはまずありません。
不動産会社に相談して通常どおり売却して問題ありません。
■ 7. ロケット不動産としての対応
大手仲介会社の“勝どき・晴海エリアへの一斉出店”が過熱感を強めた側面
勝どき・晴海エリアでは、
新築マンションの引き渡し前転売(契約転売)問題が長らく指摘されてきました。
その背景のひとつとして、
大手不動産仲介会社による新規センター(店舗)の相次ぐオープンが、
結果的に“転売マーケットの加熱”を後押しした面があります。
● 勝どきエリアでの店舗展開
-
三井のリハウス 勝どきザ・タワーセンター(既存)
-
三井のリハウス 勝どきミッドセンター(2023年10月1日オープン)
-
三井のリハウス ららテラスHARUMI FLAGセンター(2024年3月1日オープン)
約1年半の間に 勝どき〜晴海エリアだけで3拠点体制 が構築されました。
これは異例のスピードで、
「新築マンションの売買需要を積極的に取り込む狙い」
「完成前のプレミアム流通を積極的に扱う姿勢」
とも受け取られ、
結果的に転売マーケットが過熱する一因となったのは事実です。
■ 実際に“転売の掲載”も見られた
例えば、
人気タワーマンション※名前は非公開
これも数日前まで、大手仲介会社のWEBサイトで転売物件として掲載されていた記憶があります。
エリア全体の掲載状況を見ると、
-
完成前の住戸が法人・個人を問わず出回る
-
「プレミアム価格」を狙った売出しが増加
-
仲介会社の在庫確保競争が激化
という動きが重なり、マーケットが不安定化していました。
■ 大手仲介会社が富裕層に “抽選 × 転売” を進めていた事例も散見
また、業界内では以前より、
「大手不動産仲介会社が富裕層の顧客に新築マンションの抽選申し込みをさせ、
取得後は高値転売を進める動きがあった」
という話は頻繁に耳にしてきました。
実需ではなく“投資用の新築転売”として扱われ、
申込代行や抽選同行まで行うケースもあったとされ、
これが結果として、
-
抽選倍率の異常な高騰
-
真に住みたい方の機会損失
-
引渡し前転売(契約転売)の常態化
につながっていました。
■ だからこそ今回の「引き渡し前の転売禁止」方針は重要
2025年に入り、
不動産協会が 契約転売の禁止方針 を公表した背景には、
-
実需の保護
-
市場の健全化
-
投機的な購入スキームの排除
-
大手仲介会社による“転売助長”の抑制
といった課題があります。
勝どき・晴海エリアは、
ここ数年の新築供給により国内外の資金が集まり、
“投機的な盛り上がり”が最も顕著だったエリアのひとつ。
今回の方針は、まさにその流れを正す転換点といえます。
市場ルールが変わるいまこそ、
プロによる正確な情報・丁寧な判断が欠かせません。
当社では、
-
実需の購入サポート
-
投資家のリスク説明
-
契約内容の事前チェック
-
早期売却・住み替え相談
-
相続・資金需要のケース相談
など、幅広く対応しています。
■ まとめ
● 不動産協会が「引き渡し前の転売禁止」を方針化
● 投機的短期転売の抑制が目的
● 実務では契約審査や契約内容がより厳格化へ
● 実需の購入者にはメリット
● 投資家は戦略見直しが必要
● 個人の短期売却が宅建業に該当することは通常ほぼない
マンション市場は大きな転換期に入りました。
引き続き、最新情報や専門的な視点での整理をお届けしていきます。
ページ作成日 2025-11-19
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