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日本経済新聞が急に取り上げた 「残価設定型住宅ローン」は本当にアリなのか?
2025-12-12

日本経済新聞が急に取り上げた 「残価設定型住宅ローン」は本当にアリなのか?

こんにちは。
ロケット不動産の渋谷です。

最近、日本経済新聞で
「残価設定型住宅ローン」
という言葉を見かける機会が増えました。

「最近出てきた新しい住宅ローン?」
と思われがちですが、実はこの仕組み、
令和3年(2021年)頃からすでに存在しています。

今回は、不動産の実務に携わる立場から、

  • 残価設定型住宅ローンの仕組み

  • JTI(一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)とは何か

  • 本当に使う価値があるのか

  • 今後、制度はどう広がっていくのか

を冷静に整理します。


残価設定型住宅ローンとは?

残価設定型住宅ローンとは、
将来の売却や住み替えを前提に、あらかじめ「残価」を設定し、
その残価を除いた金額だけを返済する住宅ローン
です。

日経新聞では、次のように説明されています。

▼残価設定型住宅ローン
死亡時などの売却を前提に、返済不要な「残価」を設定し、
利息分と残りを月々の支払額とする仕組み。

自動車ローンでは一般的な考え方ですが、
それを住宅に応用した形です。


なぜ今、国と日経が注目しているのか

背景は明確です。

住宅価格の上昇により、
従来の35年ローンでは限界が見えてきたからです。

住宅取得時の借入額は、
2000年度:約2,600万円 → 2023年度:約5,800万円と倍以上。

年収に対する借入比率も上昇し、
50年ローンやペアローンが一般的になりました。

その結果、

  • 退職後も住宅ローンが残る

  • 老後資金とのバッティング

  • 住み替えがしづらい

といった問題が顕在化しています。

国としても、
「最初から出口を想定した住宅取得」
へ舵を切り始めた、というのが実情です。


JTI(一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)とは?

残価設定型住宅ローンの中核となるのが
**JTI(移住・住みかえ支援機構)**です。

JTIは、

  • 高齢期の住み替え支援

  • 住宅資産の循環促進

  • 売却・買取の下支え

を目的とした一般社団法人で、
国土交通省とも連携しています。

「家は一生持つもの」という考え方から、
住み替え・売却を前提にした住宅の持ち方へ。
その転換を制度面から支える存在です。


利用できる住宅はかなり限定される

現時点では、
残価設定型住宅ローンは誰でも使える制度ではありません。

利用できる住宅

  • 大手ハウスメーカーの新築戸建

  • 認定長期優良住宅

利用できない住宅

  • 中古住宅

  • マンション

  • 一般的な新築建売住宅

つまり現状では、
大手ハウスメーカーで新築する方向けのローン
と考えておく必要があります。


JTIの指定金融機関

主な指定金融機関は以下の通りです。

  • 日本住宅ローン株式会社

  • 株式会社三菱UFJ銀行

  • 楽天銀行株式会社

※いずれも、JTIと提携する住宅メーカー経由での利用が前提です。


残価設定月と、その後の選択肢

借入から20~25年後に設定されるのが
**「残価設定月」**です。

この時点以降、次の3つの選択肢が生まれます。

① 返済額軽減オプション(新型リバースモーゲージ)

  • 返済額を大幅に圧縮

  • 最終的には利息のみの支払い

  • 亡くなるまで住み続けることが可能

借主と配偶者が亡くなった後、
住宅はJTIが引き取ります。


② 買取オプション

  • 残価設定月以降、いつでも行使可能

  • その時点の住宅ローン残高と同額でJTIが買取

  • 売却=ローン完済が可能


③ オプションを使わない

  • 自己資金で一括返済

  • 残価分を再ローン

  • 当初の住宅ローンを継続

柔軟性はありますが、
いずれの場合も資金計画は不可欠です。


メリット|月々の負担を抑えやすい

残価設定型住宅ローンのメリットは、

  • 毎月の返済額を抑えられる

  • 将来の住み替え・売却を前提に設計できる

  • ライフステージの変化に対応しやすい

特に、
子育て期と老後の負担を分けたい世帯には
合理的な考え方と言えます。


デメリット|実務目線での注意点

一方で、次の点には注意が必要です。

  • 総支払額は増えやすい

  • JTIへの手数料(55,000円)がかかる

  • 利用できる住宅・金融機関が限られる

  • 残価設定年数(20~25年)到来時、
     立地や市況によっては
     JTIの買取オプションを使わず、
     一般市場で売却したほうが高く売れるケースも多い

JTIの買取は、
あくまで“最後の下支え”としての選択肢です。


今後の動き|マンション・新築建売にも広がる可能性

現時点では対象が限定されていますが、
今回、日本経済新聞が改めて取り上げたこと、
そして国の住宅政策の流れを見ると、
今後は制度が拡充されていく可能性を感じます。

背景には、

  • 都市部の住宅価格高騰

  • 若年層の住宅取得難

  • 長期ローンの限界

  • 住宅の流動化・循環を促したい国の方針

があります。

将来的には、

  • 立地評価がしやすい都市部マンション

  • 仕様が均一で評価しやすい新築建売戸建

  • 管理・維持基準が明確な住宅

などについて、
一定条件付きで残価設定型ローンが適用される流れ
になる可能性は十分考えられます。


まとめ|ローンは「入口」より「出口」で考える

残価設定型住宅ローンは、

  • 魔法のように得をするローン
    ではなく、

  • 将来の売却・住み替えまで含めた出口設計型ローン

です。

重要なのは、

  • 何歳まで住むのか

  • その後どう住み替えるのか

  • そのエリアは将来も売れるのか

そこまで含めて考えること。

住宅ローンは流行で選ぶものではありません。
人生設計と不動産市場、両方を見て決めるものです。

ページ作成日 2025-12-12

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