こんにちは、ロケット不動産の渋谷です。
2025年7月27日に開催予定だった「ヴィッセル神戸30周年記念チャリティーマッチ」(ノエビアスタジアム神戸)。スペインの名門クラブ・FCバルセロナが突如、来日をキャンセルすると発表し、世間に大きな衝撃が走りました。
その理由は、試合を主管するヤスダグループが、約8億5000万円の試合代金を支払っていなかったというもの。
クラブは公式声明で「重大な契約違反があった」とし、韓国で行う他の試合は予定通りに実施する一方、日本での試合だけを中止すると発表しました。
さらにプロモーターである韓国のD-Drive社も「無効書類の提出や虚偽説明があった」として、ヤスダグループを強く非難。
このままでは、完全に中止になると思われたそのとき、状況が一変します。
──楽天グループが未払い分を全額肩代わりし、試合が開催決定に。
今回の一件は、単なるスポーツイベントのトラブルではありません。
企業が「信頼」とどう向き合うか、何を優先して行動するかが浮き彫りになった、非常に象徴的な出来事でした。
楽天はなぜ動いたのか?
楽天は試合の主催者ではありません。
しかし、次のような深い関わりがありました。
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2017〜2022年:FCバルセロナの胸スポンサーを務めていた
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今回のチケット販売を楽天が担当
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そして対戦相手のヴィッセル神戸は、楽天グループ傘下のクラブチーム
こうした背景を踏まえると、試合が中止になれば、楽天ブランドに傷がつく可能性は極めて高かったと言えます。
楽天は法的な責任がなくとも、ブランド責任と信頼維持の観点から、約8億5000万円という巨額を即決で補てんする判断を下しました。
これは、単なるトラブル処理ではなく、「信頼」という無形資産を守るための戦略的な投資だったのです。
「GET THINGS DONE」──理念を“実行”で証明
楽天が掲げる企業理念のひとつに、
GET THINGS DONE(やり遂げる)
という言葉があります。
大義ある事業は、困難があってもやり切る。
状況が悪くても、他人のミスでも、最終的な責任を引き受けて「物事を前に進める」。
今回の決断は、まさにこの精神を地で行く判断だったと言えるでしょう。
「起業家精神」が生んだ判断力
楽天創業者・三木谷浩史氏が、若き日にアメリカのビジネススクールで出会い衝撃を受けたという考え方があります。
アントレプレナーシップ(Entrepreneurship)
「大企業の中で安定を求めるのではなく、自らリスクを取り、新しい価値を創造する精神」
当時、日本には「起業家精神」などという言葉すら一般的ではなく、むしろ大企業に入ることが成功の象徴でした。
そんな中で三木谷氏は、「自分で未来を切り拓く」ことに価値を見出し、楽天という企業を生み出します。
今回のように、リスクのある状況下で、大義とブランドのために“即断即行”する姿勢は、まさにこの精神の延長にあるように感じます。
楽天のブランド哲学に学ぶ5つの行動軸
楽天では、社員一人ひとりが行動の基準とする「ブランドコンセプト」を掲げています。
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大義名分(Empowerment)
社会に必要とされる意義ある事業を追求する。 -
品性高潔(Integrity)
誠実で気高く、嘘をつかず、誇りある行動を。 -
用意周到(Professionalism)
どれだけ理想があっても、プロとして結果を出すための準備と行動を。 -
信念不抜(GET THINGS DONE)
どんなに困難でも、やると決めたことを最後までやり切る。 -
一致団結(Teamwork)
多様なメンバーが一丸となって、価値を創出する。
今回の件において、楽天はこれらすべてを体現していたように思います。
不動産業にも通じる「信頼という資産」
不動産業も、まさに「信頼」が最重要の業界です。
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登記のトラブルが起きたとき
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ローン審査に遅れが出たとき
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買主・売主双方の不安が高まっているとき
そのときに、「これは自分の責任じゃない」と逃げるのか。
それとも「信頼を守るために、先に動く」のか。
楽天の姿勢は、私たちの日常業務にもそのまま置き換えられる判断基準だと感じました。
まとめ──“信頼”をつくるのは、契約書ではなく「行動」
楽天が補てんした8億5000万円は、経済的には“損”かもしれません。
しかし、ブランドと信頼を守ったという点においては、**極めて戦略的な「投資」**だったといえます。
私たちロケット不動産も、日々の現場で同じように問われています。
「誰のせいか」ではなく、「誰が信頼を守れるか」
今回のバルセロナ騒動を通じて、
あらためて楽天という企業の覚悟と姿勢に学びを得た出来事でした。
私たちも、“GET THINGS DONE”の精神で、日々の仕事に真摯に取り組んでまいります。