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タワーマンション×公開空地×再開発×高さ制限 ― 建築・都市計画の歩み
2025-08-17

タワーマンション×公開空地×再開発×高さ制限 ― 建築・都市計画の歩み

年表(主要改正と制度の流れ)

1919|旧・都市計画法/市街地建築物法
・絶対高さ(いわゆる百尺ライン)を導入。都市の高さコントロールが法制度として始動。

1938|高度地区制度
・地区ごとに最低・最高高さなどを設定して市街地の形態を誘導。

1950|建築基準法
・全国統一の安全基準を制定。以後の高さ・斜線・用途規制の根幹に。

1961|特定街区
・街区単位で容積・高さ・壁面位置を総合調整する“オーダーメイド型”都市計画。超高層の前提ツール。

1968|新・都市計画法
・線引き(市街化区域/調整区域)と開発許可で都市拡張を統制。用途地域の運用高度化へ。

1969|都市再開発法
・第一種(権利変換)/第二種(用地買収)で既成市街地を立体再編。

1970|総合設計制度(建築基準法特例)
・公開空地などの公共貢献と引換えに、容積・高さ・斜線の緩和を個別許可で付与。タワマン黎明へ。

1976|日影規制導入
・冬至基準などで影の滞留を制限。住環境(日照)保護の法的枠組みが確立。

1980|地区計画制度
・地区レベルで高さ・形態・壁面位置などをきめ細かく誘導。以後、緩和型のバリエーションが拡充。

1981(6/1)|新耐震基準
・以後の評価で大きなボーダーに。建物の耐震性能の標準が一段引き上げ。

1988|再開発系・誘導型の地区計画拡充
・公共施設整備と連動した規制緩和モデルが地方都市にも普及。

1990|住宅地高度利用地区計画(系)
・住宅供給と高度化を両立させる枠組みを整備。

1992|誘導容積型/容積適正配分型の地区計画
・地区内での容積移転・再配分(TDR的発想)を制度化。

1995|街並み誘導型地区計画
・斜線一律からの脱却。スカイライン・壁面位置を“設計”する時代へ。

1997|高層住居誘導地区
・都心居住回帰を制度面から後押し。

2002|都市再生特別措置法
・都市再生特別地区など裁量型の強力枠組みを導入。用途・容積・高さを包括調整し、都心大規模再開発(オフィス・商業・住宅複合)を加速。
・再開発等促進区の整備で従来制度の統合・運用高度化。

2004|景観法
・景観計画・景観地区で高さ・形態・色彩を総合誘導。“高さ”を景観側からも制御。

2010年代|公開空地・有効空地の利活用ガイド整備
・イベント・一時占用・エリアマネジメントの運用が一般化。「空地は使ってこそ価値」へ。

2020年代(東京都)|総合設計の運用強化
・高さ誘導指針や要綱・Q&Aを改定。公開空地の質、歩行者基盤、地域貢献の評価軸を明確化。

2025頃(区レベル運用の深掘り)
・住宅型総合設計のQ&A刷新、歩道状空地の必置や説明会運用の厳密化など、プロセス要件も強化。


「公開空地×高さ」を左右する勘所(法制度の要点)

  • 総合設計制度(建基法特例)
    公開空地などの公共貢献を条件に、容積・高さ・斜線を特例で緩和。質(導線・滞留・緑量・風環境・照明・管理)まで総合評価。

  • 特定街区
    街区単位で容積・高さ・壁面位置を都市計画決定。景観軸や歩行者ネットワークと一体で“高さを設計”。

  • 都市再生特別地区
    公共貢献と引換えに、用途・容積・高さを包括裁量。都心の超高層複合開発(タワレジ含む)の主戦場。

  • 地区計画(誘導型の各種)
    誘導容積、容積配分、街並み誘導などで斜線・形態を最適化。地区内TDR的な考え方でボリュームを最適配分。

  • 日影規制
    冬至・時間帯基準で影の滞留を規制。商業地域でも適用あり(除外・緩和は個別設計)。


プロ投資家の“制度チェック”最短リスト

  1. 器の同定
     総合設計/特定街区/都市再生特別地区/再開発等促進区/地区計画のどれで成立しているか。許可書・都市計画決定内容を確認。

  2. 公開空地の質と運営
     歩道状空地の幅・動線、滞留性、ベンチ・緑量、夜間照明、ビル風対策、標識、管理主体、イベント運用まで。

  3. 高さ規制の束
     斜線・日影・高度地区・景観・航空・防災の“重なり”を一枚で整理。緩和の根拠を条文・要綱レベルで裏取り。

  4. 耐震ボーダー
     新耐震(1981/6/1)と2000年基準強化の影響。確認申請の日付で線を引く。


まとめ(ロケット不動産の視点)

  • 公開空地=容積の対価は1970年代からの日本の王道。近年は“質と運営”の評価がより重要に。

  • 高さは“例外の設計”で上げる:特定街区/都市再生特別地区/誘導型地区計画を正しく読み解けるかが差。

  • 制度は常に改定中:最新の指針・要綱の読み込みが利回りの源泉。

駅前に新タワー計画が出たら、まずは「その器は何で立っているのか?」。
個別案件は、許可・計画書類ベースで“条文→図面→現地”まで踏み込みます。

ページ作成日 2025-08-17

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