お隣が売り出し中…それって買うべき?──ロケット不動産社長が語る「隣地購入」の正解|渋谷の仲介+α(プラスアルファ)|ロケット不動産株式会社
お隣が売り出し中…それって買うべき?──ロケット不動産社長が語る「隣地購入」の正解
こんにちは、ロケット不動産の渋谷です。
現場でいちばん相談が増える瞬間の一つが「社長、隣が売りに出ました。今、買うべきですか?」です。
結論から言うと——“条件がハマるなら”積極的に検討する価値は大きい。ただし、感情の追い風だけで前のめりになると高値掴みになりやすいのも事実です。
この記事では、私が日々の実務で使っている視点に行動経済学の考え方を添えて、
「買う/見送る」をブレずに判断する社長メソッドを共有します。
先に結論:買うべきは“増分価値”が立つケース
買うべきサイン(どれかに当てはまれば前向きに)
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条件改善が明確(不整形→整形、間口拡大、角地化、接道幅UPで容積率上限が上がる 等)
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法規制のボトルネックが外れる(再建築不可の解消、接道2m確保、計画道路対応 等)
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将来計画が前倒し可能(増築、二世帯、賃貸併用、駐車場化 など)
見送るサイン
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条件改善が薄く増分価値が立たない
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越境・借地・農地許可・抵当重いなどハードル多めでコスト読みにくい
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売主の希望額が自分の上限価格(後述)を明確に超過
社長メモ:
「隣だから多少高くてもOK」は“多少”の根拠が要ります。根拠=増分価値です。
心理の罠:行動経済学でわかる“焦り”の正体
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社会的証明:「隣が動いた=今が正しい」と感じる
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FOMO(取り残される不安):他人に取られる前に押さえたい衝動
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アンカリング:売主の“希望価格”が無意識の基準になる
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保有効果×近接性:隣は自分にとって特別=価値を高く見積もりがち
だからこそ、感情→数式に置き換えます。
上限価格はこう決める:増分価値メソッド
基本の考え方
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A:自分の土地の単独価格
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B:隣地の第三者向けの相場価格
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C:隣地を取得し“一体利用”した後の価格(条件改善を反映)
増分価値=C − (A+B)
あなたが支払える理論上限=B+増分価値
ここを超えたら「買っても買わなくても同じ」。投資妙味ゼロです。
かんたん事例
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A:2,400万円(60坪×40万/坪)
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B:2,000万円(40坪×50万/坪)
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C:5,000万円(合計100坪が条件改善で50万/坪評価)
→ 増分価値=5,000 − (2,400+2,000)=600万円
→ 上限=2,600万円(坪65万)
相場(坪50万)〜上限(坪65万)の間で着地できれば“いい買い物”。
収益化前提なら“8%検算”
既存地で表面8%を確保できるなら、隣地取得後も合計投資額で8%を割らないよう逆算。
賃料単価・建築単価・容積から年間賃料→総投資→土地上限を出し、自地価格を引けば隣地上限が出ます。
現場のメリット/リスク(社長の本音)
メリット
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整形・間口・角地化で使い勝手と評価が一段上がる
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増築・二世帯・賃貸併用・戸建賃貸など選択肢が増える
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売却時の買い手層が広がる(金融評価も安定)
リスク・落とし穴
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相対交渉で価格が強気(“隣なら高く買う”前提)
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タイミング依存(相手の売却意思が合わないと動かない)
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法規・権利の壁(借地・地役権・農地、越境、再建築不可 等)
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税・維持費(更地取得は住宅用地軽減が効かず固定資産税が上振れしがち)
5ステップ実務フロー(チェックリスト付き)
① 机上調査
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公図・登記(地番/所有者/抵当/地目)
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都市計画(用途・建ぺい/容積・地区計画・高度/日影・計画道路)
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道路種別(42条1項/2項、幅員、角地指定)
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私道持分/インフラ引込
② 現地
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越境(樹木・庇・配管)/境界標の有無
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周辺の売出・成約感(レンジの把握)
③ 専門家
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建築士:ボリュームチェック(本当に建つか)
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測量士:確定測量の要否(筆界・越境是正)
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司法書士:抵当・相続未登記・権利関係の整理
④ 数字を固める
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増分価値→上限価格を算定
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キャッシュフロー(固定資産税・都市計画税・金利上振れも)
⑤ 打診・交渉・契約
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価格は“レンジ+根拠”で提案(相場B/上限B+増分価値)
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停止条件を明記(融資承認/確定測量/越境解消/抵当抹消)
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特約例:測量未了時の負担と期日、越境是正方法、借地・地役権発覚時の解除可 等
ひな形フレーズ(初回レターの語尾だけでも使えます)
「近隣関係に十分配慮し、**確定測量・越境解消は売主様ご負担(または費用按分)**でのご調整をお願いできれば、相場より色を付けた条件で早期合意を検討いたします。」
固定資産税の超簡易メモ(試算の起点だけ)
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概算:固定資産税路線価×地積(補正あり)
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更地の課税標準:評価額×70%
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税率:固定資産税1.4%、都市計画税(多くの市街化)0.3%
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住宅用地の特例:200㎡まで1/6、超過〜床面積10倍まで1/3
→ **自地は軽減/隣地は更地(軽減なし)**だと、思ったより負担が上振れします。
1分で見直す「社長の最終チェック」
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条件改善(容積・接道・形状・角地化)を定量化した
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増分価値→上限価格を算出した
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確定測量・越境の扱いを契約条項で固定した
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融資・税まで年次CFで点検した
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停止条件(融資/測量/抵当/越境)を入れた
感情は背中を押す。意思決定は数字が守る。
隣地は“チャンス”ですが、“根拠のあるチャンス”だけ拾いましょう。
ページ作成日 2025-08-16
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