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SBI×Startaleの合弁が示す「オンチェーン金融」時代と不動産トークン化の実装距離
2025-08-24

SBI×Startaleの合弁が示す「オンチェーン金融」時代と不動産トークン化の実装距離

2025年8月22日、SBIホールディングスとStartale Groupが、トークン化株式およびRWA(実資産)の取引基盤を共同開発する合弁会社の設立を発表しました。要は、株式や不動産、社債、ファンド持分といった“現実に価値のある資産”をブロックチェーン上で24時間365日、国境をまたいで売買・決済できるプラットフォームをつくるという宣言です。私たち不動産業に携わる者にとっても、これは単なる金融ニュースではありません。資産の発行・流通・管理の在り方そのものが刷新される起点と捉えています。

まず、この動きの本質は「発行体—投資家—インフラ」の三位一体化にあります。発行(トークン化)と流通(マーケット)、保管・決済(カストディ/清算)が同一の技術土台で連続的に動くことで、名義移転や配当・分配、権利行使の事務が自動化されます。既存の金融市場が営業時間や国・通貨の壁で分断されていたのに対し、オンチェーンでは“常時接続の資本市場”が標準になる。これが「資本効率」と「参加者裾野」の両面を押し上げます。

不動産の視点に引き寄せると、トークン化は①小口化(数万円〜)、②流動性(売買しやすさ)、③透明性(運用・収支の見える化)を同時に進める技術です。従来は、優良だが規模が大きく個人が入りにくい収益不動産でも、トークンという単位に分解され、スマートコントラクトで分配・権利管理を自動処理できる。賃料収入や運営コストのトレース、稼働率や修繕計画の開示をオンチェーン化すれば、投資判断の前提となる情報の非対称性はさらに縮小します。加えて、二次流通(途中売却)が成立しやすくなることで、投資の出入りが柔軟になり、従来の「長期固定・出口不透明」という不動産投資のハードルを下げます。

今回のSBI×Startaleは、まさにこの基盤部分を大手が担保するという点で重要です。機関投資家レベルのカストディやリアルタイム監視、各国規制への適合といった“裏側”の品質が確保されなければ、個人投資家は安心して参加できません。逆に言えば、ここが整えば、信頼できる不動産トークンの公募・私募が連続的に立ち上がり、株式トークン、ステーブルコイン、RWAトークンが同じレール上で組み合わさる——そんな世界が現実味を帯びます。

現場の不動産会社として、私たちロケット不動産が備えるべきは三つ。第一に「データ設計」。物件の収益・コスト・稼働・修繕・ESG要素を、将来のオンチェーン開示を前提に粒度と更新頻度を揃えること。第二に「商品設計」。賃貸レジ、区分、再生、開発など、キャッシュフローとリスク特性の異なるアセットを、投資家のリスク許容度ごとにトークン設計へ写像できるよう、KPIと契約設計を標準化すること。第三に「投資家コミュニケーション」。分配ロジック、手数料、解約・流通条件、税制の取り扱い等を、Webと紙の両面でわかりやすく可視化し続けることです。

誤解のないよう付け加えると、トークン化は“魔法”ではありません。物件の価値は依然として立地、建物スペック、賃貸市場、運営力に規定されます。トークン化が変えるのは“器と流れ方”であって、中身の価値を底上げするのは地に足のついた取得・運営・出口戦略です。だからこそ、私たちは足元の案件品質を磨きながら、オンチェーン時代に耐える情報整備とガバナンスを積み上げる——この二階建ての経営が必要になります。


主な企業とプロジェクト一覧

1. GATES Inc.(ゲイツ) × Oasys(オアシス)

  • 東京都心の収益不動産約7,500万ドル(約100億円)をブロックチェーン「Oasys」上でトークン化。今後、資産総額で2,000億ドル(約30兆円)のトークン化を目指す。


2. Kenedix(ケネディクス)

  • 2021年に日本初の不動産セキュリティ・トークン(STO)を実施。物流施設3物件を対象とした複数案件を展開。

  • 2023年には「月島リバーシティ21」高層マンションを裏付けとする134億円のデジタル証券を発行。

  • 直近では都内462戸の賃貸住宅を対象にトークン化、2030年までに総額2.5兆円を目指す。


3. MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)

  • 大阪市内の高層ビル(取得額1,000億円規模)をトークン化予定。

  • 「Progmat」プラットフォームを利用し、個人・機関投資家双方に提供。


4. 三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM)

  • 三井物産グループのデジタル証券事業会社。個人向けプラットフォーム 「ALTERNA」 を運営、10万円から投資可能。

  • 2025年時点で不動産ST発行16件中14件をALTERNA経由で実施。

  • 2025年7月には「オルタナ信託株式会社」を設立し、発行から保管・運用までワンストップ体制を構築。

  • BOOSTRYの ibet for Fin を活用し、SBI新生銀行・新生信託などと協業。


5. LIFULL × クレディセゾンなどの協業

  • 「セゾンのスマート不動産投資」を展開。クレジットカード会員に向けた公募型不動産ST案件を、みずほ信託やSecuritize Japanと連携して提供。


6. インフラ系プラットフォーム:BOOSTRY(ibet for Fin) & Progmat

  • 日本の不動産ST市場の90%以上の発行実績を支える基盤。

  • BOOSTRYはコンソーシアム型、ProgmatはMUFG主導のデジタル証券プラットフォーム。


まとめ

江戸川区・城東エリアに根差すロケット不動産は、地域の優良ストックを丁寧に見立て、データとガバナンスを伴った“次世代の不動産商品”として社会に提供していく準備を進めます。SBI×Startaleの動きは、金融と不動産の距離を一段と縮める号砲です。オンチェーン金融の潮流を追うだけでなく、地域から実装していく——これが私たちの役目です。

ページ作成日 2025-08-24

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